東京高等裁判所 昭和30年(ネ)2560号 判決
控訴人は更に右催告の金額中には譲り受け債権が含まれておりその不払を理由に本件賃貸借契約を解除することはできないと主張する。賃料不払に基く賃貸借契約の解除権は、賃貸人に専属するものではあり、延滞賃料債権が第三者に譲渡された場合には、その第三者が賃貸借契約の当事者でなければ、解除権を有しないのはもちろんであるが、被控訴人は上記認定のとおり延滞賃料債権を譲り受けたのは被控訴人が本件家屋を買受けた結果、控訴人との本件賃貸借契約の賃貸人たる地位を承継するとともになされたものであり、しかも、被控訴人は譲り受けた延滞賃料債権ばかりではなく、被控訴人が賃貸人となつた後の延滞賃料債権(引続き合計十五ケ月分)をも合せて請求しているのであるから、契約解除の前提としての催告としてはもちろん、その延滞賃料を上記認定の相当期間内に支払わないことを条件としての契約解除の意思表示もまた有効といわなければならない。よつて、この点についての控訴人の主張も理由がない。
(村松 伊藤 小河)